2015年02月12日

アニメ版アイドルマスターシンデレラガールズ 第4話「Everyday life, really full of joy!」感想

 1話から連続して描かれてきた卯月、凛、未央を中心としたアイドルを目指す少女の物語は、3話でのライブ成功という形で一旦の区切りを迎えた。まだ正式にアイドルとしてデビューできたわけではないものの、最初の山場は越えて次なるステージへと歩みを進める段階には達したと言える。
 しかし卯月たちの所属するシンデレラプロジェクトには、まだそこまでの段階に到達していない者も当然存在する。
 きちんと段階を踏ませて発展させていく物語構成は、アニマス時代から引き継がれる制作陣の得意な手法であるが、本作においても人物描写に関して1話からその手法が用いられてきた。
 すなわち物語上の焦点が合わさっている人物を1話の卯月と凛から、2話の未央を迎えた3人、そして3話のシンデレラプロジェクトの面々や先輩アイドルと言った具合に拡大させていったわけである。
 シンデレラプロジェクトの11人は既に2話の時点で登場してはいたものの、2話はあくまで卯月たち3人主体の物語であり、彼女らはその存在をアピールする程度でしかなかったが、3話においてそれぞれ程度の差はあるものの、各々の個性を打ち出した描写が織り込まれ、後塵を拝してはいるものの彼女らもまた卯月たちと居場所と目標を同じくする仲間であることが明確に示された。
 とは言えまだ彼女ら11人の人となりを細かく描出したわけではない。であれば11人の少女たちがどんな人物なのかをよりはっきりと視聴者に提示することが、当然必要になってくる。
 そのために用意されたのがこの4話だった。今話ではプロデューサーからシンデレラプロジェクトメンバーのPR動画撮影を仰せつかった卯月、凛、未央の3人による撮影風景という体で、11人の個性がクローズアップされることとなる。

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 ちなみに最初に書いておくと、この「撮影を通してキャラクターを紹介する」という構成からアニマスの1話と比較する向きも多いように思われるが、アニマスの方が視点を完全にカメラマンに固定し映像のみの描写に徹した、文字通りのモキュメンタリーとして仕上げていたのに対し、こちらはPR動画撮影という状況を通して被写体側の11人だけでなく撮影側の3人も描写しており、カメラからの視点と通常の第三者的視点とを交互に使い分けているという、言ってみればごく一般的な構成になっている。
 文章で書くと大差ないように見えるが、映像上の差異はかなり大きい(視点が切り替わるだけで印象はだいぶ変わる)ので、安易に両者を比較する行為には注意するべきだろう。

 被写体として最初の対象になったのは、プロジェクトルームに入ってきたみくだった。眠たそうに眼をこすり、あくびまでしてしまうみくであったが、PR動画の撮影中と知るや否や荷物の中からネコミミを取り出して、あっという間にいつものネコ少女に早変わり。その早さと用意周到ぶりには、卯月も凛も素直に驚く。
 「意外と」という凛の感想にもあるとおり、これまでの描写ではネコキャラぶりが前面に押し出されていたためにあまり伝わっては来なかったが、みくは本来真面目な性格の持ち主であり、自身のキャラ性を一番の売りにしていても決してそれだけでやっていこうとは考えていない。それは2話での3人に向けた自己紹介からわかるとおり、「ネコキャラ」という彼女の最大の個性自体にある程度の計算を含んでいるのも、アイドルとしてどのように立ち回っていくべきか、生真面目に思案した結果とも言える(尤もみくの場合、それが「素」でもあり、割合としてはそちらの方が大きいという点がまたわかりにくくしているのであるが)。
 良くも悪くも見ている側に媚びることを忘れないという点では、彼女がアイドルというものに対して極めてストイックに向き合っている証なのかもしれない。それは彼女自身のポージングや猫なで声だけでなく、彼女のお尻だけを映してしかもフリフリさせるという媚び媚びな「画」を演出面で用意したところからも窺い知れる。

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 こういうやたら媚びるキャラは得てして性格面に難ありという設定にされがちだが、みくに関しては前述の生真面目さと、いわゆる「ライバルキャラ」になり切れないちょっと抜けた面がクローズアップされている。未央が普通に彼女を「みくにゃん」とあだ名で呼んでいるあたりに、3人との交友関係が良好であることも匂わせ、それら諸要素が彼女の持つ元来の人の好さを必要以上にくどくなることなく発露させており、人格的にはごく普通の真っ当な人物であることがここで明示されたと言っていい。

 そんなみくの生真面目な部分はこのすぐ後、3人と一緒にレッスン場へ向かった際にも発揮される。
 レッスン場には莉嘉とみりあが先に来ていたが、2人はレッスンを行っていたわけではなく、莉嘉がみりあにいわゆるセクシーポーズの類を教えていた様子。同じようなことをしているのに、そのポーズの意味するところをある程度わかっている莉嘉と、恐らくはまったくわかっていないと思われるみりあの描写は、わずか1歳違うだけの年少組2人の個性がはっきり打ち出されていて面白いが、みくは慌てて2人の間に割って入り、撮影もストップさせた。
 相手がついこの間まで小学生だった莉嘉と現役の小学生であるみりあである以上、まだ早いと2人を止めるのは年長者としては当然の行動であるが、その行動も直前の卯月たちも含めた4人の中で一番狼狽していた様も含めて、みくが極めて常識的な羞恥心や価値観を持っていることが、この場面でも示されている。
 しかしそんなみくの注意にもさほど耳を貸さず、2人は卯月の持っていたカメラに注目してしまう。興味津々の2人はPR動画の撮影と聞いて早速また別のセクシーポーズを披露するが、今度はさすがに凛に止められてしまった。この短い描写からもわかるとおり、基本的にこの2人が一緒にいる時は一つ年上の莉嘉がお姉さんとしてイニシアチブを取ろうとしているようだ。

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 改めて撮影を再開したが、ライオンキャラでアピールしようとした莉嘉に、ネコ科は被るからとみくがダメ出しをしてきたため、莉嘉は姉である美嘉の持ち歌「TOKIMEKIエスカレート」の歌とダンスを、カメラの前で披露する。だが喜んで撮影する卯月たちの後ろで、みくが静かな決意を示しているのには誰も気づかなかった。
 次は自分がステージに上がって見せるという強い意志は、3話で卯月たち3人に見せた態度が個人への対抗心だけではなく、根底にあるみく自身の上昇志向ないし目的意識の高さから生じたものであることを明らかにしており、ここでも彼女の生真面目さが端的に示されている。段階を経て強調されてきた彼女のアイドルに対するストイックな姿勢が今後どのような物語を形作るのか、これからも注視していくべきところであろう。

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 肝心の撮影は莉嘉個人の撮影中にも落ち着いていられないみりあがどんどん乱入してくるため、3人もそのパワーにすっかり押され気味になってしまった。莉嘉もすぐに一緒になって騒ぎ立てるあたりは、1歳違いではあってもまだまだ同じ年頃の子供というところか。
 この動画撮影という面白そうなものを目の前にして落ち着いていられずに騒いでしまうという2人のノリは、リアルな子供らしさが垣間見えて非常に楽しい。我々視聴側も子供時代を思い返してみると、学校で何か楽しいことがあった時は友達同士のおしゃべりに夢中になって、クラス委員が「静かにしてください!」と注意しても全く意に介さず、先生に叱られるまで続けたという経験が幾度となくあったと思う。2人の描写はまさにそれで、ただ自分の言いたいことを言っているだけで、台本的なかっちりとした言葉のやりとりにはなっていないのだが、2人にしてみれば一応会話としても成立しているというそのセリフ回しも、リアリティに拍車をかけている。
 そんな中でも2人にアイドルとしての目標ややりたいことを語らせているのは巧みなところだし、何より2人ともよく動く。表情だけでなく仕草や髪の毛の動きに至るまで、まさに全身であふれる感情を表現している様は、これぞアニメという動き具合であった。

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 子供パワーに圧倒されながらもどうにか撮影を終えた3人は次の撮影相手を探し求めるが、そんな彼女らの背後から杏の苦しそうな声が聞こえてくる。ところが3人の振り向いたその先にいたのは、3人より一回り大きな「怪獣」だった。
 思わず凛の背後に逃げる未央や、驚いて一瞬気を失い凛に支えてもらう卯月と言った3人のリアクションも楽しいが、何よりも怪獣の喉のあたりから顔を覗かせるきらりの絵面が、怪獣の凶悪な面構えとのギャップもあって一番面白い。声の主である杏が怪獣の着ぐるみを着たきらりの小脇に抱えられている様子も、また一層のおかしみを醸し出している。

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 きらりは撮影の手伝いをするために、仕事を嫌がる杏を連れて移動中なのだと言う。どのような手伝いをするのかは定かではないが、卯月たち3人以外の中にも既に対外的な活動を一応始めている者がいるという点は覚えておくべきところだろう。
 ちなみにきらりの着ている着ぐるみはその見た目から、言わずと知れた世界の怪獣王であるゴジラをモデルにしていることは明白であるが、最新作である2014年のハリウッド版ゴジラ、いわゆる「ギャレゴジ」だけを単にモデルにしたと言うわけではないと思われる。
 全体のフォルムは昔のティラノサウルスの想像図をモチーフにしたオーソドックスな二足歩行型怪獣、つまり昭和ゴジラまたはVSシリーズ時代のゴジラと似通っているし、目がつりあがっている凶悪な面構えややたら尖らせた背びれなどは、21世紀になってからのいわゆる「ミレゴジ」と類似点を見出せるので、これは様々な時代のゴジラのデザインを折衷したデザインと考えるのが妥当であろう。
 さらに言うなら一部には「ゴジラの着ぐるみは100kgくらいある→それを着て動くきらりはすごい」という意見があるが、これには若干の誤りが含まれている。ゴジラの着ぐるみが明確に100kgを超えたとわかっているのは初代、つまり第1作の時に初めて作成した着ぐるみと、1995年の「ゴジラVSデストロイア」時に作成された通称「バーニングゴジラ」のみである。
 前者は着ぐるみ製作自体が初めてだったため、試行錯誤の中の産物として作られたもので、実際に初代スーツアクターである中島春雄氏も全く動けず、より軽量化した2つ目の着ぐるみを新たに作成した(しかしその2つ目も重量100kg越えだった)という逸話も残る。VSデストロイアの場合は体の赤色部分を発光させるための電飾や、蒸気を再現した炭酸ガスの噴射機構を備え付けたために重くなったという、この映画特有の事情が背景にあるので、一概に断じることはできない。
 それに着ぐるみの喉元から完全にきらりの顔が見えていることから考えても、この着ぐるみは映画撮影用ではなく宣伝用かアトラクション用と考えられ、そうであれば撮影用よりずっと軽くなっているはずなので、少なくとも100kgということはないだろう。
 それでも女の子が容易く着られる類のものでないのも確かなので、結局のところは「きらりすごい」になってしまうのだが、この辺は個人的なこだわりということでご容赦いただきたい。
 ものすごく私的な意見を述べるなら、既存のデザインをただ尖らせただけの品のない背びれはチョイスしてほしくなかったが。
 またこのシーンは、前述の通りきらりの着ぐるみが歴代ゴジラの折衷と思しき点から見ても、かなりスタッフの遊び心が反映された場面にもなっているようで、それは「凛が着ぐるみを着たら」という卯月や未央の想像で、同じ二足歩行型怪獣の着ぐるみでなく、わざわざモスラっぽい蝶の着ぐるみを着た凛の姿を描くあたりからも窺えるだろう。

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 閑話休題。あまりアイドルらしいとは言えないその出で立ちも、きらりにとっては十分可愛く映るようだが、傍らの杏はそれよりも印税をもらえる仕事がいいとつれない態度。同じ17歳にもかかわらず、体型の面も含め様々な点が正反対のきらりと杏だが、そんな杏にきらりが構うのはただ杏を可愛いと思っているだけでなく、PR動画撮影の際に口にした「みんなではぴはぴしたい」という気持ちを常に持っているからなのだろう。「自分が」でも「相手を」でもなく「みんなで」というところが、きらりという少女のアイデンティティであり、同時に彼女をアイドルたらしめる重要な資質であるとも言える。
 しかしきらりが動画撮影をしている隙に、杏は仕事を休みたい一心でその場から逃げ出してしまった。逃げる姿が本編中初めて積極的に杏が動いた描写になっているというのがいかにも杏らしい。きらりも着ぐるみを着たまま追いかけていってしまったため、杏の動画は結局撮れずじまいとなってしまう。
 ちなみにその場面で映された映画「怪獣大決戦 GIRARIDON」のポスターに描かれている怪獣が、きらりの着ていた着ぐるみの怪獣なのだと思われる。茜と紗枝がメインで出演しているようだが、原作ゲームに馴れ親しんだ層ならこの種の映画の主演に一番向いているであろう別の特撮ヒーロー系アイドルを想起したかもしれない。
 なお隣の宣伝ポスターにはこれまたデレマスアイドルの1人である向井拓海が登場している。ゲーム中ではヤンキーっぽい特攻隊長アイドルとして登場するだけに、映画の舞台と思しき「山」と絡んでの登場はかなり意外であった。

 中庭に出た3人は小腹も空いたのでカフェに行こうとするが、その時芝生に座って楽しそうに歓談しているかな子と智絵里を目に留める。
 これ幸いとばかりに2人の撮影も開始されるが、両者とも比較的大人しめの性格であるにもかかわらず、特に緊張するでもなくいつも通りの調子でカメラに向かって挨拶するかな子と、恥ずかしがって赤面している隣の智絵里とは良い対比になっている。少なくとも一番最後にプロジェクトに参加した卯月たちよりはカメラ慣れしているはずなのに、「撮影」という状況への反応にここまでの差異が生じている、その描写自体が百の言葉を費やすよりも遙かに2人の個性を物語っていると言えるだろう。

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 智絵里とお茶会を楽しんでいたということで、今回も手作りのお菓子を披露するかな子。いい匂いにつられて撮影する側の3人もついついお菓子を食べてしまい、ひと時撮影のことも忘れてガールズトークに花を咲かせる。
 ここで注目すべきなのはやはりかな子のお菓子に対する独特な拘りだろう。と言ってもお菓子の作り方云々の話ではなく、「みんなと一緒にお菓子を食べる」ことへの拘りだ。もちろん単純に甘いお菓子が大好きという点もあるが、彼女の中でそれと同等の価値を有しているのが、みんなと一緒にお菓子を食べて楽しく過ごしたいという想いなのだろう。
 この「みんなでいっしょに」という考え方が、「アイドルマスター」の名を冠するほとんどの作品に通底しているものであることを考えると、かな子のこの想いもまた彼女が知らず知らずのうちに発揮していた、あるいは以前から備わっていたアイドルとしての資質と考えられる。
 すっかり和やかな雰囲気に取り込まれた卯月と未央だったが、そんな2人に改めて撮影の話を切り出す凛。慌ててカメラを手にした未央が次の被写体に選んだのは、当然かな子と一緒にいた智絵里だ。
 智絵里は撮影のために話す内容を書き留めたメモを持参していたが、それでも生来の恥ずかしがり屋な面が災いして、うまく話せずついつい視線をメモに落としてしまう。さらに運悪く吹いてきた突風にメモが飛ばされてしまった。
 落ち込む智絵里を励ますためにかな子はお菓子を差し出すが、それがちょうど智絵里の好きな四つ葉のクローバーと同じ形をしていたため、智絵里も救われたように微笑む。智絵里がクローバーを大切に思っている理由は劇中ではまだ明らかにされないが、そこから生まれる笑顔は、彼女もまたそれを理由にしてスカウトされたのかと思わされるほどの魅力を湛えているのは間違いなく、映像に収めるべき智絵里の一番の個性であったと言えるだろう。

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 2人の撮影を終えた未央たちにかな子は、蘭子から預かったというメッセージカードを渡す。どうやらPR動画撮影のための諸々を指定しているようだが、例によって中二病的言葉遣いで書かれているその文面が3人にとっては難解すぎて、いつどこへ行けば蘭子に会えるのか見当もつかない。

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 答えの出ないまま当てもなく旧館の玄関ホールにまでやってきた3人だったが、ちょうどそこに美波とアナスタシアが入ってきたのを見かけた未央は、蘭子のメッセージは後回しにして、先に美波たちを撮影することに決める。
 未央は早速カメラを2人に向けるが、向けられた美波は動画撮影の件は事前に知っていたのか、動じることなく落ち着いて挨拶を返し、美波に促されたアナスタシアも滞りなく自己紹介をする。

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 如才ない挨拶であったがしかし、2人がカメラを突然向けられて驚くことを期待していた未央にとっては、あまり面白くない画でもあった。それはもちろんその驚いた様を撮影したかったからであって、2話の頃から場を盛り上げるための行動を率先して取ってきた未央らしい発想というところだ。
 悩む未央はふと、美波の持っていた大きな荷物に目を留める。それが美波が大学でやっているラクロスのラケット(実際はスティックとかクロスというらしい)だと聞いた未央は、何やら名案を閃いた様子。
 未央はホールを出、正門近くでラクロスのユニフォームに着替えた美波とチアガールの姿になったアナスタシアを撮影し始める。ユニフォーム姿でラケットを素振りしながら自己アピールをするやり方が果たしてPRになっているのか疑問を持つ美波だったが、未央のかなり強引な説得を真に受けて続けてしまうのは、自己アピールでも触れている生来のチャレンジ精神故だろうか。その隣で卯月に促されたアナスタシアは、ロシア語を交えながら傍らの美波を応援する。
 素振りや応援をしつつの自己アピールを続ける2人を不思議に思ったのか、いつの間にか門の外に人が集まり出し、撮影が終わった時には拍手までされてしまい、さすがに美波も恥ずかしがってしまう。さすがに今回は突然のことでもあるので恥ずかしがるのは止むを得ないところだが、そんな美波を気にかけるアナスタシアの方は特に緊張もしていない様子。

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 今のアナスタシアにとっては、色々なことに取り組めるアイドルという仕事に対する喜びや楽しみが、他の何よりも勝っていた。そして自分がそのような気持ちを抱けるようになったのは、3人ががんばって成功させたライブを見たからという言葉に、卯月たちも嬉しそうに笑顔を作る。
 そういう意味ではアナスタシアも美波に共通するチャレンジ精神を持ち始めたと取れるが、イレギュラーな展開とはいえ観衆の前に立った時の2人の態度が正反対なのは、美波がアナスタシアを気にかけることの多い普段の関係性と逆転したものになっており、その点を踏まえても2人はなかなか面白い組み合わせなのかもしれない。
 撮影を終えた3人は蘭子からもらったメッセージカードのことを思い出し、美波に文面の内容について尋ねてみる。美波のアドバイスに従って3人はメッセージで指定されていた「聖なる泉」=敷地内の噴水へと向かう。
 果たしてそこに蘭子は待っていた。ちょうど「天使の声」=子供に帰宅を促す防災無線の放送が流れる午後5時ちょうどということで、一応指定通りの時間と場所に3人は到着できたわけである。
 しかしながら美波にも「魂を封じ込める器」の意味はわからなかったようで、3人はとりあえず美波の持っていたラクロスのラケットに、手近にあったと思われる花瓶を持参するが、蘭子はきょとんとしたような表情で、未央の持っているある物を指し示す。魂を封じる器とはすなわちビデオカメラであり、つまりあのメッセージカードに書かれていた内容は簡単に言えば「午後5時に噴水前でPR動画の撮影をしてください」という頼みごとだったのだ。

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 ようやく納得した3人もとりあえず撮影を開始するが、相も変わらぬ蘭子の中二病的言葉遣いは3人にとってやはり理解しづらい様子。要は「アイドルとしてやっていけるのか不安だけど、機会を得られたのだから一緒にがんばりましょう」というようなことを言っているのだが、それを3人が把握するにはまだまだ慣れが必要なようで、未央は後で解説してもらうよう頼む。
 その際未央が放った「らんらん」という呼び名に驚く蘭子。特徴的なあだ名をつけるのは未央の癖であるが、自分がそのようなあだ名で呼ばれるとは思ってもいなかったのか、顔には出さないもののその言葉には結構な照れが含まれているように見受けられる。
 このようなやり取りや撮影を終えて立ち去ろうとした際に、置いておいた傘を慌てて取りに戻る仕草など、彼女の素と思われる部分も徐々に露出してきており、その言動でわかりづらくなっている彼女の内面を、そう遠くない将来に仲間たちが知る時、どんな展開が待っているのか大いに期待したいところだ。
 ちなみに「お疲れ様です」という意味の「闇に飲まれよ!」は、彼女の中二病的言葉遣いを象徴するワードなので、覚えておいて損はないだろう。

 ほとんどのメンバーの撮影を終えてプロジェクトルームに戻ってきた3人。少し休みつつまだ撮影していない残りのメンバーは誰かと話す3人は、イスの下からチラリと覗いているウサギのぬいぐるみの耳に気づいていない。
 残る2人のうちの1人である李衣菜の姿を見つけた卯月だったが、李衣菜はヘッドホンで音楽を聴いている最中だったため、撮影を今行うかどうか躊躇する。しかし李衣菜の方はチラッと3人の方に視線を向けており、完全に音楽に集中しているわけではなかったらしい。
 音楽を聴き終えたのか、やたらとロックの良さを連呼しつつ立ち上がる李衣菜。そのタイミングを見計らって卯月は李衣菜の撮影を開始する。
 「ロックに身を任せてた」とか「ロックなアイドルの性」などという、いかにもクールな感じの言葉に卯月も凛も感心するが、話しているうちにだんだんと言葉に熱が入るようになり、自分でそれに気づくと慌ててクールな態度に戻す様が、可笑しくも可愛らしい。
 直後に凛からお薦めの曲を聞かれて狼狽するところや、部屋のドアが突然開いた際の慌てぶりからも何となく察せられると思うが、李衣菜はあくまでクールでロックなアイドルを「目指している」のであって、彼女自身のパーソナリティがそうだというわけではない。彼女の個性については今話においても未だ全貌は明らかになっていないので、今後彼女がどのように扱われるのか、そちらにも期待しておきたい。

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 そんな李衣菜のみならず卯月たち3人も驚くほどに勢いよくドアを開けて入ってきたのはきらりだった。一見すると何でもない場面だが、このドアの描写にきらりの持つ別個の個性、いわゆる「物理的なきらりんぱわー」を想起させられる。
 結局あの後も杏は捕まらなかったようで、仕事の方は傍らのみりあに代わりにやってもらったのだという。杏が見つからなければ撮影の方も今日中に完了できないため、3人もさすがにどうすべきか考えあぐねてしまう。
 そこできらりは最終兵器と称して、カバンの中に入れていた大量のアメを周囲にばらまく。一見すると役に立つのかどうかもわからない変な手段だが、きらりを中心とした二連続の回りトラックを使用して、四方に散らばるたくさんのアメと、それをばらまくきらりの大きさを強調し、有無を言わさぬ説得力をこのシーンに付与している。このような面倒なシーンをすべて手書きの作画で実現させているのも驚きだ。

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 するとそのアメに釣られた杏が、なんと先ほどまで卯月たちの座っていたイスの下から飛び出してきた。前述のウサギのぬいぐるみからもわかるとおり、3人が部屋に戻ってきた段階で既にイスの下に隠れていたのである。そんなところに隠れるという発想もなかなかにすさまじいが、好物のアメに釣られて飛び出してしまうところも何とも可笑しい。
 どうにか杏の撮影を開始するものの、それでも杏はまだやる気を見せない。仕事が欲しくないとか週休8日希望だとか、およそアイドルとは縁のない言葉を連呼する杏に、さすがにPRにならないと3人も困惑してしまう。もちろんこれは嘘偽りのない杏の本音なのであるが、にもかかわらずなぜプロジェクトの一員になっているのか、先ほどから何度も繰り返し書いていることだが、そのあたりの事情については今後描かれることに期待するしかあるまい(原作ゲームをプレイしている層からすれば大体見当はつくことと思うが)。

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 きらりの忠言もあってようやくやる気になった様子を見せる杏は、撮影のために着替えるからと皆を部屋の外に追い出す。しかし一瞬不敵な表情を見せた杏は皆を部屋から出した後、ドアに鍵をかけて立てこもってしまった。要はこれが最初からの杏の狙いだったわけだが、ここまで必死に仕事を忌避するのも「働いたら負け」、いわゆるニートの名に恥じない姿勢であると言えるのかもしれない。
 しかし当然だが卯月たちにとっては大問題なのでどうにかドアを開けさせようとし、帰宅しようと戻ってきたみくたちも含めて大騒動になってしまった。深刻に捉えず楽しそうにしているみりあや意外に落ち着いた対応を取る李衣菜など、各人の対応は面白いところだが、PR動画1つ完成させるだけでもこのまとまらなさ、まだまだ前途は多難であることを思い知らせてくれる一幕でもあった。

 PR動画撮影に従事したこの1日は最後までてんやわんやであったが、これを通して卯月たち3人以外ののプロジェクトメンバーの人となりを描くのが今話の目的、と言うのは冒頭に記した通りである。しかし実際に話の中身を見てみると、今話で目指されたものというのはそれだけではなかったことがわかる。
 今回の話の中では3人が動画を撮影しているその1日の間ずっと、全員同じプロジェクトに所属して専用の部屋まで用意されているのにもかかわらず、プロジェクトルームに全員が集まる描写がなく、さらに各人がやっていたこともせいぜい撮影時にカメラに向かって挨拶や自己アピールをする程度で、実際にアイドルを目指すものとして当然やるべきことや描かれるべきもの、すなわち正当なレッスン風景や各々がアイドルを志した理由を語るようなシークエンスも一切挿入されていない。
 ここから見えてくるのは、プロジェクトメンバー個々人の描写と同時に、彼女らの属するシンデレラプロジェクト自体の現状、そしてプロジェクト内における彼女らそれぞれの立ち位置をも、同時に描出しようという意図だ。
 プロジェクト内で彼女らがそれぞれどのような立場に立つのか、ボケ役かツッコミ役か、はたまたトラブルメーカーかトリックスターか。集団内における彼女らのキャラシフトを、今話ではっきりと定義した上で見る側に示しているのだ。言ってみれば彼女らの「個人」としての立ち位置と「集団」内での立ち位置とを一気に描出してみせたわけである。
 そしてそれらを踏まえた上で描かれる現在のプロジェクトの状況。アイドルとして正式にデビューした者が誰もいないというお寒い現状ももちろんあるが、それ以上に今話では「プロジェクトとして各人がまとまっている様子が一切ない」点を強調している。
 たくさんの施設を構えた敷地の中にいるわけだから、仕事以外のちょっとした用事でもすぐ部屋を離れなければならないという実情はあるものの、かつてのアニマスでたびたび描かれた「アイドル全員が事務所に集合している」描写が、今話のような内容であっても最後の最後まで出てこないというのが、それをはっきり象徴していると言えるだろう。
 どうにか完成したPR動画を見たプロデューサーが、その内容に明らかに困惑したような素振りを見せているのは、その辺りの少々マイナスとも取れる要素が、動画に顕著であったからではなかろうか。
 しかし仕事の内容として疑問符がつくとしても、各人の魅力が映像の中に込められていることは間違いなく、それをプロデューサーがきちんと理解しているというのも、映像の中の卯月たち3人が最後にやらかした大きなポカに、クスリと笑みをこぼしているところから十分察せられるだろう。

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 翌日、プロジェクトルームに集まった14人への労いの言葉と、その後に続けられた「今後…活用させていただきます」には、彼のそんな想いが見て取れる。
 彼が笑った瞬間のカットを後方からのアングルとし、表情を一切見せずわずかな動作と声だけで彼の胸中を見せるというのも心憎い演出であった。

 PR動画の話がひと段落したところで、プロデューサーは改まった口調で全員にある連絡事項を伝える。それは美波とアナスタシアの2人、そして卯月、凛、未央の3人がそれぞれユニットを組み、CDデビューしてもらうというものだった。
 プロデューサーからの突然の発表は、14人の少女たちにどのような物語をもたらすのであろうか。



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